まゆのお産

 予定日は12月7日でした。里帰り出産するため10月30日に実家に帰りました。出産する予定の病院では体重制限を厳しく言われ、一週間に一度の検診の朝は何も食べず、片道1時間半かけて歩きました。すでに私の目標体重を超え、もう1gも増やせません。赤ちゃんも2600gで小さく生んで大きく育てるが目標でした。
 ところが、赤ちゃんは36週で2600gに育っていました。1週間前に比べても300gも増えています。この勢いでいくと予定日には4000gまでいってしまうかもという不安もありました。
 実家では「自分だけの分でないのだから、食べなさい」と言われ、目の前に油べっとりの肉やフライした魚などカロリーがたっぷりなものを並べられ「赤ちゃんの分だから」と強くすすめられました。お腹がすいているし、その気になれば全部食べられます。およそ我慢とは程遠い生活をしていた私は出産すれば終わるこのひもじさがエンドレスに続くように感じて辛くなっていました。できれば早く出てきて欲しいと思いました。夜、寝る前はお腹をさすりながら「3000gになる前に出てきてね」とお願いしていました。
 11月23日は失敗の多い一日でした。ミシンの押さえを割ってしまったり、お風呂に水を入れないで炊いてしまったり。疲れているみたいで胎動も全く感じませんでした。
 11月24日から一泊で主人が来ることになっていました。前の晩も「まさかまだ生まれないよね」などと電話で話していました。
 その明け方、生理のような出血をしたように感じてトイレに行くと、血ではなく透明な水のようなものが出ていました。「まさか、破水?」と思い、歩くとまた出てきます。不安に思い、病院に電話するとすぐ来てくださいとのこと。検査するとやっぱり破水でした。
 歩くたびに水が出ますが、お腹も腰も痛くなく、普段と何も変わりません。看護士さんに「いよいよですね」と言われてもピンときませんでした。
 主人が病院にかけつけて「大丈夫?」と心配してくれましたが、全く元気でその元気がむしろ心配でこのまま陣痛が来なかったら促進剤打たなきゃいけないと不安になりました。私は前々から病院には「助産院での出産のような出産を希望します」という内容のバースプランを提出し、そうなるように努力してきました。
 午後から母親に足湯器を家から持ってきてもらい、ひたすら足湯をしました。